2022年室生寺ライトアップ/祈りを捧げる光と音の祭典

クライエント 奈良県 室生寺

概要

奈良県 室生寺で毎年開催されている紅葉ライトアップの企画、デザイン、運営を行いました。

2023年度には、弘法大師生誕一二五〇年を迎えることから、2021年から生誕記念に向けたライトアップを実施しています。室生寺と弘法大師との関係や龍神伝説の物語を辿りながら、世界観を楽しむことができることを目的とし、企画しました。

長く愛されるイベントへと育てていけるよう願いを込めて、イベント企画から、マーケティング戦略の立案、ブランディング、ロゴ制作など、総合的にプロデュースしています。

イベント実施期間:2022年11月5日から27日

背景

奈良県・宇陀市
大阪や京都などの各主要都市から約1時間の距離に位置します。
日本の原風景を思い起こす自然豊かな宇陀市は、菟田野、榛原、室生、大宇陀の4つの地区から成り立ちます。
古事記や万葉集などに宇陀の地名が記されており、古くからの歴史が残る町です。

女人高野 室生寺
奈良県の北東部に位置します。山々に囲まれた室生は、水の神の聖地として古くから崇められてきました。

室生寺では、四季折々、違った姿を魅せる伽藍や、平安時代初期から受け継がれてきた国宝、美しい御仏が数多く収蔵され、訪れる人々を魅了しています。

紅葉ライトアップについて
こちらの室生寺では、毎年11月中旬~12月上旬にかけて、紅葉まつりが行われています。
普段は昼間の拝観のみですが、この時期は特別に紅葉ライトアップが行われ、夜間拝観が可能になります。

デザイン

「弘法大師生誕一二五〇年 祈りを捧げる光と音の祭典」をコンセプトとし、弘法大師空海と関係の深い室生寺と龍とのストーリーをもとに全奉納作品を制作しました。

チラシ
案内のわかりやすさを考慮したのはもちろんですが、チラシを見て室生寺を回った思い出の付加価値も与えたいと思い、思い出の品の一つとなるよう制作しました。
表面は弘法大師と龍を大きく掲載し、裏面はバン字池を彷彿とさせる色味で仕上げることで、表面と裏面を見比べて、色の変化が楽しめるようにしました。

散華
散華では、願い事の文字が映えるよう工夫しました。
他の制作物では、さまざまな色を使用したのに比べ、散華では、赤紫と青とその同系統の色味だけを使用したドミナントカラー配色で制作しました。

アニメーション
弘法大師と龍の歴史ある室生寺にまつわる物語4作品をアニメーションにて制作し、寳物殿の白壁にプロジェクターで投影しました。

パネル
仁王門前には、弘法大師と龍と写真を撮れる撮影パネルを設置しました。また、鎧坂下・金堂・本堂・五重塔の各ポイントには、物語をご紹介するパネルを展示しました。室生寺との関係性を紐解けるようなストーリーとなっています。
バン字池では、龍神物語の幻想的な雰囲気をカラーイルミネーションで表現しました。音響は龍が息を潜めているようなBGMを使用し、スピードの変化とブルー系・グリーン系・レッド系のカラーを数種類調合してグラデーションの動きをつけました。

弘法大師1250年に向けた室生寺と龍の特別散華(表)
弘法大師1250年に向けた室生寺と龍の特別散華(裏)
バン字池 龍神物語の幻想世界をイメージしたオリジナルグラデーションカラーライトアップ
散花書道体験
鎧坂下「室生山の龍神信仰」パネル
五重塔「弘法大師と水瓶に眠る龍たち」パネル
寳物殿前「弘法大師と室生寺と龍神物語」大型パネル
寳物殿前「弘法大師と室生寺と龍神物語」アニメーション投影

今年の特設ブースは「祈りの散華書道体験」を展開し、現代のスマホ時代では筆で「字を書く」ということ自体が久しぶりの方が多く、知っているはずの漢字を忘れていたり、お連れ様の字を初めて見たなど、どこか懐かしく久しぶりの感覚を楽しむ様子が見られました。

また、ご祈祷された散華に自分自身のお願いごとを書けるということに価値を感じていただける方も多く、中には病になった息子様の治癒を願っておられる方もいらっしゃいました。

特別散華そのものが記念となることはもちろん、室生寺での体験そのものが人々の思い出として残り続けていくことを願っています。